ラベンダーは、シソ科の多年草で、地中海沿岸が原産です。
日本でも観賞用・ハーブ用として親しまれていますが、その栽培には少しだけ“特徴”があります。
まず理解しておきたいのは、「乾燥に強く、湿気に弱い」という点です。
多くの人が「ラベンダーは丈夫な植物だからほったらかしでも大丈夫」と思い込んでしまいます。
しかし、実はそれが原因で枯らしてしまうケースも少なくありません。
特に梅雨や多湿の時期は、根腐れを起こしやすく、日当たりや風通しの悪い環境では病気のリスクも高まります。
一方で、日差しがよく当たる場所で、水はけのよい土壌さえ確保できれば、ラベンダーは非常に手間の少ない植物になります。
つまり、正しい知識さえあれば、「手間をかけずに育てる」ことは可能です。
まずはラベンダーの基本的な性質を押さえることで、のちの“ほったらかし栽培”の成功率が大きく変わってきます。
「ほったらかしでも育つ」は本当?ラベンダーの耐久性と手間

「ラベンダーはほったらかしでも大丈夫」――これは半分本当で、半分誤解です。
確かに、ラベンダーは他の植物と比べると乾燥に強く、過保護にしすぎるとかえって枯れてしまうこともあります。
しかし、それは「完全に放置してもいい」という意味ではありません。
たとえば、水やりは基本的に控えめで良いですが、極端な乾燥状態が続けば、さすがに萎れてしまいます。
また、剪定を怠ると、枝が間延びして見た目が悪くなるだけでなく、風通しも悪くなり病気のリスクが高まります。
重要なのは、ラベンダーが「適度な放置」に耐えられる植物だということです。
環境さえ整っていれば、日々の細かな世話をしなくても元気に育ちますが、その環境を作るまでは、やはり最低限の手入れが必要です。
ほったらかし栽培がうまくいく条件とは?
ラベンダーを“ほぼ放置”で育てるためには、最初にいくつかの条件をしっかり整える必要があります。
特に重要なのが、次の3つです。
1. 水はけのよい土
ラベンダーは湿気が苦手です。
市販のハーブ用培養土や、赤玉土と腐葉土を7:3で混ぜた自作の土を使うと、水はけのよい環境を作れます。
鉢植えの場合は、鉢底に軽石を入れることでさらに効果的です。
2. 十分な日当たり
1日に最低でも6時間以上、しっかりと日光が当たる場所が望ましいです。
日当たりが足りないと花付きが悪くなり、株も弱ります。
庭植えの場合は南向きの場所、鉢植えなら日当たりの良いベランダが理想です。
3. 風通しの良さ
風が通らないと湿気がこもり、病気が発生しやすくなります。
密植は避け、剪定もこまめに行いましょう。
特に梅雨時期は注意が必要です。
これらの条件が整っていれば、毎日観察したり頻繁に水やりをする必要はなくなります。
つまり、「育てる準備さえ丁寧にしておけば、あとはほぼ放置でOK」というわけです。
放置してはいけないタイミングとは?
どんなに“強い”植物でも、完全放置ではうまく育ちません。
ラベンダーにも、「これは放置しない方がいい」という大切なタイミングがあります。
以下の2つだけは、しっかり対応しておきましょう。
剪定のタイミング
ラベンダーは年に1~2回、剪定を行う必要があります。
主な時期は「花後」と「秋(10月頃)」です。
放置すると枝が木化しやすくなり、全体の形が乱れるだけでなく、翌年の花つきにも影響します。
剪定は“元気な新芽の上”で切るのが基本です。
水やりのタイミング
ラベンダーは乾燥を好みますが、苗を植えた直後の活着期や、真夏の高温・乾燥時期には水が必要です。
土が完全にカラカラになったときは、朝か夕方にたっぷりと水を与えてください。
逆に、毎日少しずつ水をやるのはNG。
根腐れの原因になります。
この2点だけでも意識して管理すれば、ラベンダーはぐっと育てやすくなります。
「完全放置」ではなく「時々手を貸す」くらいの感覚でちょうどよいのです。
おすすめのラベンダー品種3選【手間が少ない】

すべてのラベンダーが「ほったらかし向き」というわけではありません。
品種によって性質が異なるため、初心者には育てやすい種類を選ぶことが大切です。
ここでは、特に“手間の少ない”3つの品種をご紹介します。
1. イングリッシュラベンダー
最も一般的で香りもよく、見た目も美しいラベンダー。
耐寒性が高く、日本の気候にも比較的適しています。
初めて育てる方にもおすすめです。
2. フレンチラベンダー
うさぎの耳のような花が特徴で、観賞価値も高い品種です。
暑さに比較的強く、春から秋まで長く楽しめます。
湿気には弱いので、水はけのよい環境が必須です。
3. ラバンディン系ラベンダー
イングリッシュとスパイク系の交配種で、丈夫さと香りの良さを兼ね備えた品種です。
開花期間が長く、株も大きくなりやすいので庭植えに向いています。
品種選びを間違えなければ、「思っていたより簡単だった」と感じることも少なくありません。
まずは育てやすい品種から試してみましょう。
まとめ
ラベンダーは、正しい環境さえ整えてあげれば、「ほぼ放置」で育てることができる植物です。
ただし、“完全な放置”はトラブルのもとになります。
放置しても良い部分:
・水やり(乾燥に強いため頻繁に不要)
・日々の観察(急な変化が少ない)
放置してはいけない部分:
・剪定(年に1~2回は必須)
・環境づくり(風通しや水はけの確保)
忙しい日々の中で、植物と関わる時間を最小限にしながらも、美しいラベンダーの花と香りを楽しむことは十分に可能です。
ぜひこの記事を参考に、“手間をかけない育て方”で、ラベンダーのある暮らしを始めてみてください。