サイネリア(学名:Pericallis × hybrida)は、キク科ペリカリス属に属する植物で、カナリア諸島原産の多年草です。
ただし、日本では一年草として扱われることが一般的です。
寒い時期にカラフルな花を咲かせることから、冬から春にかけての鉢花として人気を集めています。
花の色は青や紫、赤、ピンク、白など非常に多彩で、中心部分が白くなる「覆輪(ふくりん)」の品種もあります。
草丈は30~50cmほどで、室内やベランダでの鉢植えにも適しています。
サイネリアは冷涼な気候を好むため、暑さに弱いという性質があります。
日当たりの良い場所で、風通しを良くしながら育てると、より長く花を楽しむことができます。
なお、市販されている多くのサイネリアはF1品種(交配種)のため、採取した種から育てた場合、親と同じ特徴の花が咲かないことがあります。
しかし、その分、予想外の色や形の花が咲く楽しみもあり、種まきによる育成に挑戦する人も増えています。
種はどこにできる?サイネリアの種子の特徴

サイネリアの種子は、花が終わった後に残る中心部分、つまり筒状花の中にできます。
見た目には地味で目立たないため、初めての方には種ができているかどうか判断が難しいかもしれません。
花びらがしおれたり落ちたりしたあとも、すぐに花がらを摘まずに残しておくことで、種子の成熟が進みます。
時間が経つと、中心部が乾燥し、その中に小さな種が現れます。
種は非常に細かく、茶色から黒っぽい色をしており、楕円形をしています。
種が自然と落ち始める頃が、採取の適期です。
そのままにしておくと風で飛んでしまう可能性もあるため、早めに収穫するようにしましょう。
種を採るタイミングはいつ?見極めのポイント
サイネリアの種を採取するうえで最も重要なのは、適切なタイミングを見極めることです。
花が咲いてからおおよそ3~4週間後、花びらがすべて落ち、中心部が茶色く乾燥してきた頃が目安となります。
このとき、種がしっかりと固くなり、軽く触れるだけでぽろぽろとこぼれ落ちるようであれば、種子は十分に成熟しています。
逆に、まだ中心が緑色をしていたり、種が柔らかい場合は未熟で、発芽率が下がる可能性があります。
また、雨に当たると種がカビたり、落ちてしまう恐れがあるため、鉢植えは軒下など雨の当たらない場所に移動しておくと安心です。
種の取り方:手順を写真で解説
サイネリアの種の採取は、次のような手順で行います。
- 花びらが落ち、中心部が乾燥して茶色くなった花を選びます。
- 指先やピンセットを使って、中心部を軽くつまむと、細かい種がこぼれ落ちます。
- 白い紙や受け皿の上で作業すると、種をこぼさずに集めやすくなります。
- 採取した種は、すぐに密閉せず、まずは1~2日ほど日陰で乾燥させます。
採取後の種は非常に軽く、小さなゴミや花粉と混ざりやすいため、ふるいやティッシュを使って異物を取り除くと、清潔に保管できます。
採取した種の正しい乾燥と保存方法
採取したばかりの種子にはわずかに水分が残っているため、そのまま密閉してしまうとカビや発芽不良の原因になります。
採取後は、風通しのよい日陰で1~2日程度乾燥させることが重要です。
乾燥が終わったら、紙封筒やチャック付きの小袋に入れて保管します。
保存する際には、採取日や品種名などをラベルに記録しておくと翌年の管理がしやすくなります。
保管場所は、直射日光を避けた冷暗所が適しています。
冷蔵庫の野菜室なども有効ですが、湿気が入り込まないよう注意が必要です。
来年に向けて:採った種のまき方と育て方のコツ

サイネリアの種まきは、一般的に9月から10月頃に行うのが最適とされています。
夏の高温期を避け、涼しくなり始めた時期が発芽に適しているためです。
種まきには、清潔な育苗用土やピートモスを用い、浅めに播きます。
発芽までは光を必要とするため、覆土はごく薄く、もしくはしない場合もあります。
水やりは霧吹きなどで丁寧に行い、過湿にならないよう注意しましょう。
発芽後は風通しと日当たりを確保し、本葉が3~4枚になったところで鉢上げを行います。
温度管理が難しい場合は、発芽までを屋内で行い、苗がしっかり育ってから屋外に出すと成功しやすくなります。
よくある疑問Q\&A(花が咲かない?交配は必要?など)
Q:サイネリアの種は勝手にできるのですか?交配が必要ですか?
A:一般的には、自然交配や自家受粉で種ができることが多く、人工授粉をしなくても種子が取れる場合があります。
Q:採取した種をまいても、親と同じ花が咲きません。
なぜですか?
A:市販の多くのサイネリアはF1品種(交配種)のため、次世代は遺伝的にばらつきが出るためです。
これにより、予期せぬ色や形の花が咲く楽しみがあります。
Q:花が咲かないことがあります。
原因は何でしょうか?
A:発芽後の温度管理、水の与えすぎ、日照不足、または栄養不足が原因と考えられます。
特に冬越しの段階で冷害を受けると、成長が止まることがあります。
まとめ
サイネリアは、冬から春にかけて美しい花を咲かせてくれる魅力的な植物です。
花が終わったあとも、種を丁寧に採取・保存することで、翌年もまた新たな命を育む楽しみが味わえます。
確かに、F1品種であるために親と同じ花が咲かないこともありますが、それもまたガーデニングの醍醐味のひとつです。
少しの手間と工夫で、種から育てるサイネリアの魅力をぜひ体験してみてください。