紫陽花が酸性の土で青く、アルカリ性の土で赤くなるというのは聞いたことがありますか?
これは正しい情報の一部ですが、全てではありません。
実際には、紫陽花の色は土中のアルミニウムの吸収量に大きく依存し、この吸収は土の酸度やリン酸の量によって変わります。
また、アントシアニンという色素や品種も色の変化に影響を与えます。
この記事では、紫陽花の色がどのように変わるのかを詳しく解説し、より鮮やかな赤や青にする方法を紹介します。
紫陽花の色の変わる理由

紫陽花の色を決める要素には、アントシアニン、アルミニウム、土壌の酸度、リン酸、そして品種が関係しています。
アントシアニンとアルミニウムの関連性
紫陽花に含まれるアントシアニンという色素は、ブルーベリーやナスにも存在します。
紫陽花の色は、アントシアニンが土中のアルミニウムと結びつくことによって決まります。
アルミニウムを多く吸収すると青く、少ないと赤くなり、中間の量だと紫色になります。
紫陽花の元の色はピンク(赤)ですが、アントシアニンが土中のアルミニウムとどれだけ結合するかによって青色に変化します。
アルミニウムが含まれていないピートモスで育てると紫陽花は青くならず、逆にアルミニウムを与えると鮮やかな青色になります。
ただし、白い紫陽花はアントシアニンを含まないため、色は変わりません。
土壌のpH値が及ぼす影響
植物は土から溶け出す栄養素を吸収し、成長します。
一般的に土壌には少量のアルミニウムが含まれており、このアルミニウムが溶け出すかどうかは土壌のpH値、つまり酸性度に大きく左右されます。
酸性の土ではアルミニウムが水に溶けやすく、アルカリ性の土では溶けにくいのです。
この性質が、紫陽花の花の色に影響を与えます。
酸性の土ではアルミニウムが溶けやすいため、花は青くなりやすく、アルカリ性の土では赤く傾向があります。
日本の土壌は火山灰が多く、雨量が多いため酸性に傾きやすいです。
そのため、日本では青い紫陽花がよく見られます。
リン酸の役割
肥料の主成分であるNPKの中のP、すなわちリン酸は、花や果実の成長に欠かせません。
リン酸が豊富だと、アルミニウムと結びつき、その水溶性を減少させます。
その結果、土壌が酸性であってもリン酸が多ければ、アルミニウムが溶けにくくなり、紫陽花が青くなるのが難しくなります。
リン酸を多く使うと、青い紫陽花の色が薄くなることもあります。
品種による色の差
アナベルやノリウツギなどの品種は、もともと色が変わりにくい特徴を持っています。
これらの品種は、どんな土壌や環境でもその色を維持します。
特にアナベルは、花の成長段階によって色が変わる特性があります。
蕾の時期は淡い緑色、開花すると白色になり、満開を過ぎると再び緑色に戻ります。
このように、紫陽花には成長に伴って色が変わる種類もあります。
紫陽花の色調整の方法

紫陽花の色は土壌の成分に大きく影響されますが、土壌の調整は簡単な作業ではありません。
赤から青へ、青から赤へと色を変えることは、元の色の影響を受けやすいです。
ここでは、色をより鮮やかにするための方法を紹介します。
調整を始める前に、土壌の初期のpH値を測定することが重要です。
鮮やかな赤色にするために
アルミニウムの吸収を抑えることがポイントで、土壌のpHを中性から弱アルカリ性(pH6以上)に保つことが望ましいです。
例えば、100リットルの土に苦土石灰150gを加えると、pHが約1上がります。
しかし、土壌の酸度が過度に高くならないよう注意し、一度上がった酸度を下げるのは困難なので慎重に行ってください。
石灰が完全に溶け出し、土壌が安定するまでには約1ヶ月かかるため、早めの対応が必要です。
適切な量のリン酸を肥料として使用すると、花の成長を助けると同時に、アルミニウムの水溶性を低下させる効果があります。
鮮やかな青色にするために
アルミニウムの吸収を促すためには、土壌のpHを酸性(pH5-5.5)に保つか、アルミニウムを施肥する必要があります。
土壌のpHを下げるのは難しいですが、無調整のピートモスを土の約30%混ぜることで調整が可能です。
アルミニウムの施肥には、硫酸アルミニウムや焼きミョウバンがおすすめです。
これらを1000倍に薄めて、2週間に1回程度施すと良いでしょう。
ただし、石灰やリン酸を多く含む肥料は避けてください。
アルミニウムは水に溶けて吸収されるため、水やりは十分に行ってください。
紫陽花の色の変化と調整方法まとめ

紫陽花の色は、アルミニウムの吸収量、酸度、リン酸の影響を受けることが分かります。
また、アントシアニンや品種も色に影響します。
この記事では、紫陽花の色がどのように決まるのかを詳しく解説しました。
さらに、色をより鮮やかな赤や青にする方法も紹介しました。
土壌の調整は一つの方法ですが、完全に色を変えるのは難しく、元の色が残ることもあることも覚えておいてください。