ラベンダーはその魅力的な香りと美しい色合いで、多くの庭師や園芸愛好家を魅了し続けています。
しかし、美しいラベンダーを育てるには、季節ごとに異なる丁寧なお手入れが必要です。
この記事では、ラベンダーに花を咲かせるための季節ごとのケアのポイントを紹介します。
春の植え付けや植え替えから、夏の水やり、秋の剪定、冬の寒さ対策まで、ラベンダーの育成における重要な時期ごとの管理方法を詳しく解説します。
6月・7月・8月 夏のラベンダーケア

夏の暑さが始まる6月からは、ラベンダーの世話に次のようなポイントがあります。
- 花の手入れ
- 湿気への対策
- 強い日差しを避ける
などです。
花の手入れ
6月にはラベンダーが花を咲かせます。
室内で飾るためにラベンダーの花を使いたい場合は、開花直後に手入れをするといいでしょう。
これにより、花の美しさや香りが長持ちし、ドライフラワーとしても鮮やかに仕上がります。
自然に花を観賞する場合は、花が色あせてきたら手入れしましょう。
茎を下までたどり、新しい芽がある部分でカットします。
湿気への対策
花の手入れが必要な時期は、梅雨から夏にかけてです。
この高温多湿な時期は、ラベンダーにとって苦手。
傷んだ葉や茎も手入れすることで、空気の循環が良くなり、湿気を防ぐことができます。
地面に触れている部分も湿気の原因になりますので、きちんと取り除きましょう。
株が通り抜けるほどに手入れすると、株元が日に当たりやすくなり、土の乾燥も助けます。
水やりは朝や夕方に行うのが最適です。
昼間の水やりは土の温度を上げ、湿気の問題を引き起こす可能性があります。
地植えのラベンダーは基本的に夏の間は水やりをする必要がありませんが、土が非常に乾燥している場合は水やりをしてください。
強い日差しに注意
ラベンダーは日の光を好む植物ですが、夏の直射日光は強すぎることがあります。
鉢植えは昼間は半陰の場所へ移すと良いでしょう。
地植えの場合は、他の植物が作る陰に植えるか、遮光ネットを使うのがおすすめです。
夕方の西日にも注意しましょう。
9月・10月・11月 秋季のラベンダーの管理

涼しくなる秋の季節には、以下のようなラベンダーの管理が大切です。
- 追加の肥料を施す
- 思い切った剪定
- 鉢植えの更新
追加の肥料を施す
9月頃、涼しくなり始めたら、ラベンダーに追肥をします。
この時期に施す肥料は、夏の間に美しい花を咲かせたラベンダーへの感謝としての「お礼肥」とも呼ばれています。
長く効果が続くタイプの肥料を少しずつ株の周囲に散布しましょう。
過度な肥料は植物を傷める原因となるため、量は慎重に調整してください。
思い切った剪定
秋の後半にラベンダーが落ち着いたら、大胆な剪定を実施します。
長く放置するとラベンダーが過度に伸びてしまい、全体のバランスが崩れる可能性があります。
大胆な剪定で株を活性化させ、新しい姿に仕立て直します。
特に植え付けから2年以上経ったラベンダーには、定期的な剪定が必要。
茎の下の部分を確認すると、木質化している箇所が見えるはずです。
新しい芽が見えるその辺りで剪定を行いましょう。
剪定によって高さが半減しても、心配ありません。
剪定後に形を整えることで、来年の花付きが良くなります。
晴天を選んで剪定し、その後の水やりは控えめにしましょう。
理想的には2~3月までに剪定を完了するのがベストですが、早咲きのフレンチラベンダーの場合は11月までに行うことが望ましいです。
鉢植えの更新
鉢植えのラベンダーを植え替える最適な時期は春ですが、根が鉢に詰まっている場合は10月に植え替えを行います。
鉢底から根が突き出ているのを見つけたら、それが根詰まりの兆候です。
根に余裕を持たせるために、より大きな鉢に植え替えるのが良いでしょう。
剪定を行った後に植え替えることで、根への負担を減らすことができます。
植え替えの際は、根を傷つけないように土をそのままにして注意深く行ってください。
12月・1月・2月 冬季のラベンダーケア

冬の寒い時期にラベンダーのお手入れには、以下のポイントが大切です。
- 寒冷対策
- 室内での育成
- 冬の剪定
寒冷対策
ラベンダーは寒さに比較的強い品種が多いですが、寒冷な地域では特に注意が必要です。
冷たい気候でのラベンダーの保護には「マルチング」が効果的です。
株元にはストローやバークチップ、腐葉土などを敷き、凍結や乾燥から守ります。
土が凍ってしまうと、根にダメージが生じることがあります。
比較的温暖な地域でも、寒波が来ることがあればマルチングをしておくと安心です。
室内での育成
プテロストエカス系など、寒さに弱いラベンダーは、冬の間は室内で管理するのが望ましいです。
日中はできるだけ日光が当たるようにして、日照不足が気になる場合は外に出して日光浴をさせましょう。
室内では通気性が低下することがあるので、植物が蒸れないように注意が必要です。
冬の剪定
特に雪が多く降る地域では、ラベンダーの茎が雪の重さで折れてしまうことがあります。
雪が積もる前に、茎を適度な長さに剪定しておくと良いでしょう。
強剪定をまだ行っていない場合、3月までに剪定を済ませることをお勧めします。
3月・4月・5月 春季のラベンダーケア

春の暖かな季節になると、ラベンダーのお手入れには次のような点が重要になります。
- 植え替えと新規植付け
- 挿し木での増やし方
- 春の適切な剪定
植え替えと新規植付け
春になると、新しいラベンダーの苗が店頭に並びます。
鉢植えする場合は、まず鉢底に排水を助ける石を敷き、ラベンダーに適した排水性の良い土を用います。
専用のラベンダー土を使うのが最適ですが、一般の園芸用土を使う場合は、赤玉土や川砂を混ぜて排水性を改善すると良いでしょう。
ラベンダーは酸性の土壌を好まないため、pH値が中性の土を用いることが大切です。
高温多湿に弱いので、夏に向けて通気性が良い素焼きの鉢を選ぶことをお勧めします。
春、特に4月から5月にかけては植え替えに最適な時期です。
植え替え時には根を傷めないよう注意し、一回り大きな鉢に移し替えてください。
植え替え後はしっかり水を与え、最初の一週間は根の状態を見ながら風通しの良い半日陰で管理します。
挿し木での増やし方
春は、ラベンダーの挿し木による増殖が効果的です。
枝を5cmから10cmの長さに切り、水に1時間ほど浸けた後、細かい赤玉土に挿してください。
土が乾燥しないように管理し、約1ヶ月後には根が生え始めます。
根がしっかりとついたら、ラベンダー用の土に植え替えます。
定期的な剪定で株を元気に保つことができますが、数年が経過すると株の力が弱まるため、挿し木での新しい株の育成が効果的です。
春の適切な剪定
開花の早いフレンチラベンダーは、4月下旬から花を咲かせ始めます。
ラベンダーは花を咲かせるために多くのエネルギーを消費するため、花が完全に開花する前に収穫すると、夏に向けての株の体力を温存できます。
早期収穫することで、室内での花持ちが向上するため、早めの収穫をお勧めします。