ラベンダーは香りのよさや見た目の美しさから、庭やベランダで育てる植物として人気があります。
しかし、その一方で「夏に必ず枯れてしまう」「冬は元気だったのに夏に急に弱る」といった声も多く聞かれます。
特に園芸初心者にとって、夏越しは最初の大きな壁になるかもしれません。
その原因の多くは、ラベンダーが「高温多湿」に弱いという性質にあります。
ラベンダーの原産地は地中海沿岸の乾燥した地域であり、日本の蒸し暑い夏とは気候が大きく異なります。
そのため、適切な環境づくりや管理の仕方を知らずに育てると、どうしても弱ってしまいやすくなります。
この記事では、ラベンダーが夏に枯れてしまう原因をわかりやすく5つに分けて解説し、それぞれに対する具体的な対処法をお伝えします。
園芸初心者の方でもすぐに実践できる内容にしていますので、ぜひ最後までご覧ください。
原因1:高温多湿が苦手

ラベンダーが夏に弱る最大の原因は、「高温多湿」です。
ラベンダーの原産地である地中海沿岸地域は、日中は暑くても湿度が低く、夜間には涼しくなる気候です。
一方、日本の夏は日中も夜間も湿度が高く、気温が下がりにくいため、ラベンダーにとっては非常にストレスの多い環境です。
高温多湿の状態が続くと、葉が蒸れて傷みやすくなり、病気も発生しやすくなります。
特に風通しの悪い場所で育てていると、わずか数日で一気に弱ってしまうことも珍しくありません。
解決法:風通しと乾燥を意識した管理をしよう
ラベンダーは風に吹かれることで元気になります。
夏の間は、できるだけ風通しの良い場所に鉢やプランターを移動することが大切です。
特にベランダや庭の隅など、風の通らない場所ではなく、風がよく通る場所を選びましょう。
また、鉢植えの場合は「鉢の下にレンガを敷く」などして、鉢底の通気性を高める工夫も有効です。
これにより、根の周囲にこもる湿気を減らすことができます。
原因2:水のやりすぎ・根腐れ
ラベンダーは乾燥した環境を好む植物です。
そのため、水のやりすぎは根腐れを引き起こす大きな原因となります。
特に夏場は「暑いから水をあげなきゃ」と思って毎日水やりをしてしまい、結果的に根が呼吸できずに枯れてしまうケースが多いです。
解決法:乾燥気味に育てる「水やりの基本」を知ろう
基本は、「土の表面がしっかり乾いてから水をやる」ことです。
指で土を触って湿っていないか確認しましょう。
鉢植えの場合、鉢底から水がしっかり出るまで与えたあと、水が鉢の中にたまらないように受け皿は空にしておくのが理想です。
また、夏場は早朝か夕方の涼しい時間帯に水を与えるようにしましょう。
日中に水をあげると、鉢内の温度が急上昇し、根にダメージを与えてしまうことがあります。
原因3:直射日光と蒸れ
ラベンダーは日当たりを好む植物ですが、日本の真夏の日差しは非常に強烈です。
直射日光が長時間当たることで鉢の温度が急激に上がり、根が煮えるような状態になることがあります。
また、気温が高い中で葉の密度が多いと、内部に湿気がこもり、蒸れて葉や茎が腐ってしまうこともあります。
解決法:遮光や場所選びがカギ
夏場は「午前中だけ日が当たる場所」や「半日陰になる場所」に移動するのがおすすめです。
ベランダの場合、すだれや遮光ネットを使って日差しを和らげるのも効果的です。
また、葉が密集しすぎている場合は、風通しをよくするために軽く剪定するのもよい方法です。
蒸れやすい環境を少しでも改善してあげることが、ラベンダーを守る第一歩です。
原因4:剪定のタイミングミス

ラベンダーは定期的に剪定することで、株全体の風通しや見た目を整えることができます。
しかし、剪定の時期を間違えると、株に大きなダメージを与えてしまいます。
特に、夏直前や夏の最中に強剪定をしてしまうと、ラベンダーは体力を消耗して弱りやすくなります。
剪定後は新芽を出すエネルギーが必要になるため、気温の高い時期に無理をさせるのは避けたいところです。
解決法:正しい時期とやり方を確認しよう
基本的な剪定のタイミングは、「花が終わったあとの6月中旬ごろ」までに済ませるのが理想です。
この時期に軽く刈り込むことで、株が蒸れにくくなり、形も整います。
ただし、真夏に剪定が必要な場合は、軽く風通しをよくする程度にとどめるようにしましょう。
株元まで切り戻すような強剪定は、秋以降に行うのが安全です。
原因5:鉢・土の環境が合っていない
ラベンダーは、「水はけがよく、通気性のある環境」を好みます。
市販の培養土や、花用の土のままでは、湿気がこもりやすく、根腐れや病気の原因になることがあります。
また、鉢のサイズや材質にも注意が必要です。
プラスチック製の鉢は通気性が悪く、熱がこもりやすいため、夏場には向いていないことがあります。
解決法:水はけ重視の土と鉢で育てよう
ラベンダーには、「ハーブ用の土」や「山野草用の土」など、水はけに優れた土がおすすめです。
自分で配合する場合は、赤玉土(中粒)や鹿沼土、腐葉土などをバランスよく混ぜて、ふかふかした通気性のある土を用意しましょう。
また、鉢は素焼き鉢やテラコッタ鉢など、通気性に優れた素材を選ぶことで、根の健康を保ちやすくなります。
鉢の底に軽石を敷いておくのも、水はけをよくする工夫のひとつです。
まとめ:夏越し成功のポイントをおさらい
ラベンダーの夏越しは、初心者にとって一つの大きなハードルです。
しかし、ポイントをしっかり押さえれば、決して不可能なことではありません。
最後に、今回紹介した原因と解決法をおさらいしましょう。
- 高温多湿対策には風通しのよい環境が不可欠
- 水やりは控えめに、乾燥気味に管理
- 直射日光と蒸れを避ける工夫を
- 剪定はタイミングが重要。夏前に済ませるのが基本
- 鉢や土は水はけ重視で、通気性を確保すること
これらを意識するだけで、ラベンダーの夏越し成功率はぐんと高まります。
あなたのラベンダーが、厳しい日本の夏を乗り越え、秋にも元気な姿を見せてくれることを願っています。